2007年12月26日
喪中につき
喪中につき 年末年始の
ごあいさつをご御遠慮申し上げます
ことしは生涯忘れられない一年となりました。
更新が途絶えがちであったのにもかかわらず、
お越しいただきまして、
ほんとうにありがとうございました。
人とのつながりに支えられながら、今年が終わろうとしています。
感謝の気持ちでいっぱいです。
また来年お会いしましょう。
2007年12月09日
いいたいことが言葉の中にないの
「だいじょうぶ! すぐまた『青』になるから」は、信号が赤になってイライラしていた父親に二歳になる息子が言ったひとこと。
手帳で有名な高橋書店が主催している「手帳大賞」。日常生活の中で思わず口にした言葉で、心に響くものなどが選ばれているらしい。応募は毎回二万通近くあるそうだ。
椎名誠さんが、ここ3年間で上位に入ったものから、気にいった20個ほどを「風まかせ赤マント」【週刊文春 2007年12月13日号】で紹介している。
私から見ると、素直に感心できず、わざとらしいなぁ、と思うものもいくつかあるけれど、きっとそれは私の心根の問題でしょう。もちろんストレートに受け入れられるものもある。冒頭であげた二歳のひとこともそのひとつ。大人の気負いがふっと緩められたことでしょう。他に笑ったものと、心に響いたものを少し並べてみたい。
「みんなを守る勉強をしとるんや」
というのは、ウルトラマンのビデオばかり見ている四歳になる息子に「テレビばかり見ているとバカになるで。少しは勉強せなあかん」と怒った父親に答えたひとこと。
そうだ、地球を守るんだ!
「この子の顔にはこの鼻があっている」
思春期を迎えて自分の低い鼻にコンプレックスを持っていた頃に母方の祖父が言った言葉だという。以来この娘は自分の顔、鼻が好きになっていったらしい。
救いのひとこと。
「いいたいことが言葉のなかにないの」
と言ったのは三歳の幼児だという。
本当に、三歳児のことば? 私の悩みと同じなんですけど。
2007年12月01日
朝永振一郎とアメリカの土産物屋
『現代用語の基礎知識』(自由国民社)は戦後まもなくから発行されている。我が家にある最も古いものは、父が若かりし頃買った1951年編集版だ。昭和26年…。
先日ふと思いついて、長年本棚の片隅に押しやられていたそれを手にとってみた。ページをめくると、ひとつひとつの言葉から戦後の匂いがしてくる。今後、「へ〜」と思うようなものがあったら、折に触れてここに書きたいと思っている。
『現代用語の基礎知識』では、各分野に分類された用語が解説されている。中に「物理用語」というふつうなら私が絶対に目を通さない項目がある。ただ執筆者が朝永振一郎氏とあるのにひかれ、パラッと開いてみた。
用語説明の前に1ページ「執筆について…」という前書きのような文章が載っていて、これが面白かった。以下(前半だけですが)、やや長い引用(漢字は現代の字に変えてあります)になります。しつこいようですが、昭和26年のもの。
このエピソードだけで、当時の一般的なアメリカ人が物理学用語をふつうに使っていたとはいえない。
それでも「このように、アメリカでは〜」と朝永氏が書いたのは、「日本も早くアメリカに追いついてほしい」という願望が強くあり、日本の読者にはっぱをかけたかったのではないだろうか。
科学が日々進歩していく中で、専門用語が日常語化することがあり、それらを一般の人向けに解説した字引が必要となった。「物理用語の解説」は、まずその試みとして執筆されたもののようだ。
土産物屋さんは、朝永氏を日本人と分かったうえで「アトム・ボンブ」という言葉を使ったのだろうか。それにしても、朝永氏もかなり人が悪い。土産物屋さんも、まさかのちのノーベル物理学賞受賞者に放射能の説明をしていたとは思いもよらなかったことでしょう。
先日ふと思いついて、長年本棚の片隅に押しやられていたそれを手にとってみた。ページをめくると、ひとつひとつの言葉から戦後の匂いがしてくる。今後、「へ〜」と思うようなものがあったら、折に触れてここに書きたいと思っている。
『現代用語の基礎知識』では、各分野に分類された用語が解説されている。中に「物理用語」というふつうなら私が絶対に目を通さない項目がある。ただ執筆者が朝永振一郎氏とあるのにひかれ、パラッと開いてみた。
用語説明の前に1ページ「執筆について…」という前書きのような文章が載っていて、これが面白かった。以下(前半だけですが)、やや長い引用(漢字は現代の字に変えてあります)になります。しつこいようですが、昭和26年のもの。
昨夏アメリカ、ユタ州の山間を、見物旅行していたとき、土産物を売る茶店に美しくもない石がちんれつしてある。何かと思ったらウラニゥム鉱石と説明がついている。
わざととぼけて、この石は何ですか、とおやぢに聞くと、それはウラニゥム鉱石で、それからアトム・ボンブを作るのだ、とすこぶるセンセーショナルな説明をする。
そして、ちょっとこっちへ来なさい、といって、その石を一つとって店の他の側へつれて行く。そこには、何か電気じかけの小さい装置がある。おやぢの言うのに、これはガイガー・カウンターで、これで石の放射能の強さがわかるのだ。
装置のスイッチを入れて、石をそばへもっていくと、バラバラバラと装置にしかけたラウド・スピーカーがなる。これで鉱石からX線が出ていることがわかるのだ、という。
ところが、鉱石をどけても、ときどきポン――ポンと音がする。この音は一体何だ、どこからX線が来るのか、とわざとたずねると、おやぢがすまして、それは宇宙線だ、と答える。
このように、アメリカでは物理学の専門用語が山間のへき地にまで行きわたっている。
このエピソードだけで、当時の一般的なアメリカ人が物理学用語をふつうに使っていたとはいえない。
それでも「このように、アメリカでは〜」と朝永氏が書いたのは、「日本も早くアメリカに追いついてほしい」という願望が強くあり、日本の読者にはっぱをかけたかったのではないだろうか。
科学が日々進歩していく中で、専門用語が日常語化することがあり、それらを一般の人向けに解説した字引が必要となった。「物理用語の解説」は、まずその試みとして執筆されたもののようだ。
土産物屋さんは、朝永氏を日本人と分かったうえで「アトム・ボンブ」という言葉を使ったのだろうか。それにしても、朝永氏もかなり人が悪い。土産物屋さんも、まさかのちのノーベル物理学賞受賞者に放射能の説明をしていたとは思いもよらなかったことでしょう。
