本日付けの読売新聞(WEB版)のコラム「編集手帳」にこんな一節があった。
夕立には「白雨(はくう)」という美しい異称がある。涼しげな名は白い雨脚から付けられたという。〈木から木へこどものはしる白雨かな 飴山実(あめやまみのる)〉。急な雨に遊びを中断して走る子供たちの、はしゃぐ声が聞こえてきそうである
「白雨」、…今まで知らなかった言葉なのに、文字面(もじづら)と読む音から感じることができる。懐かしいような、ちょっと幻想的な情景が。

夕立には「白雨(はくう)」という美しい異称がある。涼しげな名は白い雨脚から付けられたという。〈木から木へこどものはしる白雨かな 飴山実(あめやまみのる)〉。急な雨に遊びを中断して走る子供たちの、はしゃぐ声が聞こえてきそうである


オリンピックを「五輪」と表記しようと考えたのは、戦前のベルリン大会当時、読売新聞の運動部記者だった川本信正さんである。後にスポーツ評論家として活躍した川本さんが東京五輪に際して、いきさつを小紙に語っている。
ベルリン大会が盛り上がり、「オリムピック」という言葉が紙面の随所に登場するが、新聞の記事や見出しには長い。何か略語はないかと悩んだ末に思い浮かんだのが宮本武蔵の「五輪の書」。
五つの輪はシンボルマークそのものだし、ゴリンとオリンピックは語感も似ている、というわけで紙面で使い始めた。当初は「5厘と聞こえて安っぽい」などと言われたそうだが、ほどなく日本中に定着。
絶妙のネーミングだけに、中国でも五輪と表記すると思っている人が意外に多いのではないか。残念ながらそうではなく、「奥林匹克運動会」略して「奥運会」と記す。何やら奥まった所、近づき難い所で開催されるような。
名前のせいではないけれど、旅行社によれば、オリンピックがあるのに今夏の中国旅行の予約がなかなか伸びないとか。北京奥運会いや北京五輪まで1か月を切った。
(2008年7月13日01時44分 読売新聞)
「ハイオク満タンと洗車、現金でお願します」
その日は一気に500q走ったこともあり、疲れて判断力も鈍っていたのかもしれない。ガソリンスタンドで、深く考えることもなくそう伝えてトイレで用を足した後、暇つぶしに待合室でトボけたことばかり書き連ねられた40代向け女性ファッション誌をダラダラとめくっていた。
「お客様、2万1094円になります」
……2万ってそれ、もしかしてアタイのこと?
「ええ、これ詳細です。お客さんのおクルマ、四駆だから洗車代がちょっと高いんですけど」
えーと、洗車代が3150円か。高いよ確かに。
で、ハイオク85Lも入っちゃったのか……って、@210円ってなに?
……ニヒャクジューッ?!
思わぬ3の倍数にナベアツばりのアホな驚きを隠せない僕、そしてニンマリするスタンドのお兄ちゃん。
誰にも苦手はあるから映画監督の記憶力は望まないが、忘れてほしくない名前がひとつある。母親の切ない訴えを聴いて、目を潤ませた日のことは大統領も覚えておいでだろう。「メグミ」という。
僕が、芸人のかたわら、本を書くのも、紙が、時代を経ても残っていくという感覚に惹かれるからです。
紙に向かうといえば……昨年、亡くなった親父が社交下手で、読書だけが唯一の趣味でした。その血なのか、僕自身は、本を読んでいる人の姿を見るのが好きです。紙面に時を奪われて、心、此処にあらず、現実からぶっとんでいく。紙の中で繰り広げられる、総天然色の物語の中に入りこんでしまっている人だけが発する気、その瞬間のオーラが好きなんです。