葛西 新幹線の「のぞみ」は阿川さんが命名されたんですよね。ご記憶ありますか?
阿川 深くありますっ! 名前を決める委員に選ばれて伺ったら、すでに「希望」「きらら」「つばめ」「エース」などの候補が幾つかあって……。
葛西 二十ぐらいあったんですね。
阿川 私はノーアイディアだったから列車好きの父に相談したところ、「一つだけ言っておく。日本国鉄の列車の名前は歴代すべて大和言葉でつけられてきた。候補の中では『つばめ』しかないなあ」と。でも、「ひかり」より速い新幹線が「つばめ」ってわけにもいかないって話になり…・・・。
葛西 僕もそう思いました(笑)。ただ漢語も英語もカタカナもよくなくて、伝統を守ったほうがいいという阿川さんのお父さまのご意見はその通りだとも思っていました。
阿川 委員会では「希望」と「太陽」が有力候補になっていたんですが、私が最後に「一応父からの伝言なんですけど、日本の列車の名前はすべて大和言葉で付けられてきたそうです。『希望』を大和言葉にすると『のぞみ』ですね」とだけ申し上げたんですよ。そうしたら、「あ、そうですね。考慮に入れておきましょう」と。まさかそれが受け入れられるとは思ってなかったから、決まったときは「ウソッ、どうしよう!?」って慌てました(笑)。
初めて「のぞみ」という新幹線の名前を聞いたとき、何となく「変なの〜」と思ったような気がします。イメージが湧きづらかったかもしれません。ふだん「大和言葉」という言葉はほとんど耳にしませんが、まさか列車の名前のキーワードになっていたとは思いもよりませんでした。